Avaloncity Dolls

私、「信頼出来ない語り手」明智紫苑の自作小説とカスタマイズドール中心の我楽多ブログです。

No.41/f.29 ネミッサ・ブランシュ・ハラウェイ(Nemissa Blanche "Nemi" Haraway / Nemissa Fortune)

Nemissa Haraway

《No.41/f.29 ネミッサ・ブランシュ・ハラウェイ(Nemissa Blanche "Nemi" Haraway / Nemissa Fortune)》

 とりあえず、『Avaloncity Stories』には少なくとも二人は同名の人物たちがいるが、彼女(たち)も「スターシステム」で色々な人物像を演じる可能性はある。それは当然、他のキャラクターたちも同じである。

①ネミッサ・ブランシュ・ハラウェイ(Nemissa Blanche "Nemi" Haraway / Nemissa Fortune)…『Avaloncity Stories』第二部におけるアスターティ・フォーチュンと同い年のファッションモデル。「ネミ」という芸名で芸能活動をしている。黒髪、色白の肌に涼しげな紫の目で中性的な雰囲気の美少女。超人気歌手である「ロクシー」ことロクサーヌ・ゴールド・ダイアモンドと同じ事務所に所属しており、ロクシーはアスターティだけでなく彼女に対しても反感を抱く。『Fortune』でも描かれている通り、ネミもアスターティと同じく人造人間〈バール(baal)〉であり、天然の人間とバールとの再融合を果たす〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉で人工授精でフォースタス・チャオの息子アーサー・ハラウェイ・フォーチュンを産む。

 後にフォーチュン姓を名乗るが、彼女と息子アーサーの系譜が第三部のウェイランド・フォーチュン家につながる。彼女が生涯独身で、なおかつ人工授精で子供を産んだのは、彼女が無性愛者だからである。まあ、〈ソロモン・プロジェクト〉で生まれた子供たちは人工授精で生まれた子の方が多いのだが、フォースタス・チャオとアスターティ・フォーチュンのようなカップルから生まれた子供たちも少なくない。

②ネミッサ・フォーチュン(Nemissa Fortune)…謎の魔法戦士。こちらも愛称は「ネミ」。アヴァロン帝国の〈東方十二諸侯〉の一つウェイランドの当主ウェイランド・フォーチュン家の娘。すなわち、第二部のネミの子孫にして生まれ変わりである。魔法戦士としての彼女は大きな鍵状の棒を武器にする。実際に何かの鍵らしいが、詳細不明。もちろん、剣などの普通の武器も使う。

 第三部のアスターティ・フォーチュンが主人公の小説『Astarte ―FORTUNA IMPERATRIX MUNDI―』で、アスターティやヒルダ・マーズと出会って共に旅をするが、彼女たちは第二部のそれぞれと同名の女性たちと同様、篤い友情で結びつく。

 

 11月9日生まれ。身長165cm。好物は梅おにぎり、BLTサンド、生春巻き、寒天を使ったコーヒーゼリー。無性愛者ではあってもヴィーガンではないのね。趣味は水族館巡りで、クラゲやウミウシを好む。〈アガルタ〉で作られたバールであるネミは、ある外界の家庭に里親として迎えられ、育てられた。彼女は幼少期からモデルの仕事をしており、アスターティと同じく「普通の人間」同様に育てられた。

 しかし、〈アガルタ・ソロモン・プロジェクト〉によって一般人社会に送り出されたバールたちは、実は少なからず存在しており、世間の人々が想像するよりも一般人社会に浸透していた。アヴァロン連邦歴100年代のバールたちは、主にプロアスリートとしての活躍が目立っていたが、アスターティやネミらの時代には「普通の人」として生きているバールたちは少なからず存在していた。そんな彼らこそが天然の人間たちと再融合し、「新人類」の祖先となっていくのだ。

 モデルは岡崎京子氏の漫画『リバーズ・エッジ』並びに『ヘルタースケルター』のサブヒロイン「吉川こずえ」だが、そのこずえとの共通点を減らすために、ネミは無性愛者という設定になっている(こずえはレズビアンという設定になっている)。しかし、言うまでもなく最大の理由は、フォースタスとアスターティの関係を脅かさないようにするためである。そして、仮に乙女ゲーム的な展開の話を書くならば、彼女たちとは別のヒロインキャラクターを創造して書くつもりである。

 

 人形は、『ファウストの聖杯』終盤あたりの時期である20歳の姿を想定しており、ボークスCヘッドとセキグチmomokoボディを組み合わせた。「中性的な美少女」だったハズが、予想外に女性的な雰囲気になってしまった。まあ、化粧次第で雰囲気は変わるよね。髪の毛は元々植毛されていたドールヘアを抜いて、黒いドールヘアを再植毛した。髪のセットにはドール用ヘアワックスが欠かせない。

 この子は「アヴァロンシティ・ドールズ」には珍しく、着せ替え人形としての汎用性というか可能性が高いと思う。そもそも、日本のファッションドールの代表格の一つであるモモコドールの素体を使っているので、着せ替え人形としての使い勝手が良いのは当然かもしれない。


【宇多田ヒカル - Fly Me To The Moon】

No.40/f.28 浜凛華(Rinka Hama)

Rinka Hama

《No.40/f.28 浜凛華(Rinka Hama)》

 小説『恋愛栽培』のヒロインである花川加奈子の敵となった女性。すなわち、『Avaloncity Stories』第一部の登場人物である。悲惨な少女時代を過ごして転落した彼女は、かつて自分がいじめていた元クラスメイト加奈子を逆恨みし、怪しい人脈を使って彼女を陥れようとするが、最後は蓮華院秀虎の振るう 属鏤 しょくる の剣に悪霊を斬り裂かれて四散した。〈アガルタ〉の精霊/仙人である果心居士は、彼女から「悪の女神」タキアの気配を感じていたようだ。

 しかし、彼女の魂は数百年後に果心と松永緋奈の娘(すなわち、アーサー・フォーチュンや松永りりこらの姉)として生まれ変わり、前世では得られなかった幸せを得る。新たに生まれ変わった凛華には「悪の女神」の影はない。そして、果心と緋奈が宇宙移民船〈アヴァロン〉号と共に地球を去ってからも、彼女は伍子胥孫武、さらには恋人ケンと共に地球に留まり、世界を見守る。

 地球人類滅亡後の未来(約5000万年後)、彼女は新たな精霊となって、緑の星地球の中に溶け込んでいた。かつての人類を導いた神々と精霊たちの集団〈アガルタ〉はすでにない。残された彼女たちは新たな しゅ に魂を吹き込み、それらはさらに未来の知的生命体となっていくだろう。

 

 6月26日生まれ。身長165cm。好物はトンカツ、うな丼、焼肉、ビール。ちなみに彼女は『Avaloncity Stories』の登場人物としては珍しい愛煙家である。少なくとも、『恋愛栽培』の時点では、愛煙家でないと違和感があるキャラクターだ。彼女は子供の頃から苦労を強いられ、非行少女となった。母親の再婚相手やその他の男たちからたびたび性的虐待を受け、売春や違法薬物に染まり、ホストとの短い結婚生活によってシングルマザーになった挙げ句、生ける悪霊と化してこの世から消えた。しかし、残された娘はある資産家の養女になった。

 その問題の娘 浜凛蘭 はま りんらん は、彼女が祖母に虐待されているところを覗き見した果心の児童相談所への通報によって養護施設に保護されたが、後に海外の資産家夫婦に引き取られ、その家の養女になった。彼女は改名し、自分の母親や祖母などの記憶を忘れ、健やかに育っていった。〈アガルタ〉の者たちは彼女に対しては「悪霊」の影を見出さず、そのまま放っておいた。新たな名前と身分を得た娘は、この世の地獄から抜け出して幸せな人生を歩んだだろう。

 今時の女の子ではすっかり少数派になってしまった黒ギャルの凛華嬢だが、単なる「悪役ギャル」のままにしておくのが惜しいキャラクターなので、果心と緋奈によって新たな生を得る事にした。やはり、ドール化すると情が移るのね。当然、生まれ変わった凛華は前世とは違って善良そのものである(ついでにタバコを吸わなくなっている)。

 

 人形はオビツ27cm女性用02ヘッドとスーパーアクションジェニー素体を組み合わせたが、日焼け肌色のヘッドは限定の希少品である。それに合わせて、素体を樹脂用染料で染めた。日本のドール界では日焼け肌の子が不遇なのね。しかも、基本となる肌色の名称が「ノーマル」だの「ナチュラル」だのは、明らかに偏っている。せめて「ミディアム」という名称にした方が良いと思う。いや、「ミディアム」でも不十分かもしれない。

 ペットワークス『六分の一男子図鑑』の素体の基本的な肌色の名前が「アイボリーベージュ」なのは、中立的で良い名称だと思う。このように、色白肌も日焼け肌(もしくは黒人系ドールの肌色)も、何とか良い名称を使ってもらいたいね。そもそも、日本のドール界は濃い肌色のお人形に対して冷遇していると思うのだが、肝心のドールファン自体が「黒ギャル」的なキャラクターを好まない人が多いか…。

 まあ、ドールファンは色々な意味で「ギャル系」とはかけ離れた人が多そうだし、ギャル系ドールの需要自体がほとんどないのだろう。アメリカには白人貧困層(日本のネットスラングで言う「DQN」な人たち)をモチーフにした「トレーラー・トラッシュ・ドール」というブラックジョーク的な着せ替え人形があるのだが、あのようなお人形の商品化は日本では十中八九あり得ないだろう。だからこそ、カスタムドールとして、そのようなキャラクターを作る余地はあるのだ。


【DOMINO - TORA TORA TORA】

No.39/f.27 花川加奈子(Kanako Hanakawa)

Kanako Hanakawa

《No.39/f.27 花川加奈子(Kanako Hanakawa)》

『Avaloncity Stories』第一部に含まれる小説『恋愛栽培』のヒロイン。23歳。関東某県某市(埼玉県川越市の可能性はあるが、確証はない)の不動産屋の事務員として働くアマチュア小説家。蘇った戦国武将、 蓮華院秀虎 れんげいん ひでとら と結ばれ、未来の宇宙移民船〈アヴァロン〉号並びに植民惑星〈アヴァロン〉に渡る子孫を残す。結婚後の名前は蓮華院加奈子。『Avaloncity Stories』の女性キャラクターとしては極めて「普通の人」だが、第一部と第二部の架け橋となる重要人物でもある。

 加奈子は作家としてプロデビューし、秀虎との間に息子・虎之介(後に工学博士)と娘・奈々(後に医学博士、小児科医)が生まれる。この一家こそが、第一部と第二部との架け橋となる上に、第三部にまで生き延びる家系になるが、さすがに加奈子自身は自らの立場の重要性を知らない。彼女はあくまでも普通の人間であり、果心ら〈アガルタ〉の精霊(仙人)たちではないのだ。

 彼女は子供の頃から果心居士と松永緋奈に見守られていた。果心と緋奈はたびたび彼女の危機を救ったが、加奈子は彼らと再会するまではほとんど忘れていた。果心らが彼女の記憶を消す術を使っていたのかもしれないが、『恋愛栽培』以降の果心と緋奈は、加奈子と秀虎に〈アガルタ〉の計画を伝えている。しかし、それは人類の外宇宙進出計画が明るみに出るまでは、蓮華院家の者たちはそれを公言しない。それはもう数百年の年月を必要とする大計画なのだ。

 

 加奈子は私、明智紫苑と同じく12月10日生まれである(他にはヒルダ・マーズもそうだ)。身長152cmで、人形の素体をそれに合わせたものにしている。好物は豚汁、チキン南蛮、ごぼうサラダ、ハーゲンダッツのクッキー&クリーム。趣味は読書とドールカスタマイズ。それで、自作小説のキャラクタードールを作っているのだ。好きなミュージシャンはBONNIE PINKレディー・ガガ山下達郎、藤井風、坂本冬美など。音楽を聴く趣味嗜好は「広く浅く」であり、クラシック音楽やジャズも多少は聴く。

 加奈子が主人公の小説『恋愛栽培』にもあるように、彼女は小学校時代に母親を、高校卒業直前(しかも、大学入試に合格した直後)に父親を亡くして、大学在学中に祖父を、就職してからすぐに祖母を亡くしたので、この一軒家は加奈子のものになった。すでに父親の代で家のローン返済は終わっていた(加奈子の学費を払えるだけの遺産はあった)ので、幸いその辺の経済的負担はなかった。

 彼女の小学校入学前からの幼馴染である 不動涼子 ふどう りょうこ 樽川若菜 たるかわ わかな は、彼女にとっての関羽張飛である。おそらく、 浜凛華 はま りんか は自分のクラスメイトだった彼女たちの篤い友情に対して、少なからぬ嫉妬心があっただろう。彼女たちの友情は最晩年まで続くが、涼子と 厚田恭介 あつた きょうすけ の娘が加奈子と秀虎の息子虎之介と結婚し、第二部以降の蓮華院家につながって行く(ちなみに恭介は、不動家の婿養子になる)。

 

 人形はジェニーヘッドの再塗装にオビツ25cmボディ使用。こんな事を言うのは失礼だが、リカちゃんやジェニーやモモコドールのヘッドは、顔の塗装をマニキュア除光液などで拭き取ってのっぺらぼうにしてしまうと、そんなに美形ではない。だから、加奈子のような普通の女の子を作るのに向いている。逆に言えば、私が好んで使うオビツ27cm女性型02ヘッドのような美形の造形のドールヘッドは、加奈子のような「普通の女の子」という設定のキャラクターを作るのには向いていないのだ。

 多少小柄ではあるが、加奈子は「アヴァロンシティ・ドールズ」では珍しい「普通の女の子」なので、現実的なコーディネートが似合うだろう。逆に言えば、ファンタジー的な世界観に基づくような格好は似合わないだろう(せいぜい「村人A」くらいの役回りか?)。小柄である分、服のサイズの制限はあるが、モモコドールなどのリアルクローズ系のドール服が似合うと思う。


【BONNIE PINK - A Perfect Sky】

No.38/m.12 エンキ・メルカート(Enki Melkart)

Enki Melkart

《No.38/m.12 エンキ・メルカート(Enki Melkart)》

『Avaloncity Stories』第三部に登場する魔法戦士。「鬼谷先生」と呼ばれる人物(すなわち 范蠡 はん れい )の弟子。ニース(理恵子)とレシェフ(将門)の父。妻・ 蓮華院千瀬 れんげいん ちせ は子供たちがまだ幼い頃に病死している。エンキ自身、謎の病によって本来とは容姿が変わっており、右目を失明している。その病は伝染病ではないが、何者かの「呪い」だと噂されており、彼はある山奥に隠遁している。そのため、娘ニースと息子レシェフは南の国ソーニアに仕官のアテを求める。

 彼はアヴァロン帝国の〈東方十二諸侯〉の一つであるウェイランド(Weyland)の魔法戦士一族の名門メルカート家の一員である。かつてはヘンリー・フォースタスやサラ・マニャール(サラスヴァティ・マグナード)らと共に鬼谷先生(范蠡)に師事していた。ウェイランドは小国だが名門(フォースタス・チャオの子孫であるウェイランド・フォーチュン家が当主)であり、ヘンリー・フォースタスもこの国の出身だった。しかし、エンキとヘンリーははるか東の帝国 泰夏 タイシャ に渡り、鬼谷先生に師事した。

 彼は謎の難病により全身に斑点があるが、それでも常人以上の武力を持つ。そんな彼の姿を見たある人は、〈聖なる星〉から語り継がれる物語の人物に彼をなぞらえた。すなわち、「フランケンシュタインの怪物」と。彼は一部の者たちから、ある殺人事件の犯人の疑いをかけられているが、彼の「師匠」すなわち鬼谷先生の遺体を見た者はいない。そもそも、鬼谷先生の正体である范蠡自体が不老不死なのだが…。

 息子レシェフは父エンキの無実を信じているが、問題の殺人事件の真犯人が何者かを知るのは、ソーニアの宰相になったヘンリー・パーシヴァル・フォースタスではないかと確信している。第二部のソーニア州がかつての地球のアメリカにおける「バイブル・ベルト」に似ていたのに対して、第三部のソーニア王国はインドなどの南アジアを思わせる地域になっていた。

 

 6月5日生まれ。身長190cm。好物は山羊汁、ミネストローネスープ、うさぎの丸焼き。彼は山奥で自給自足の一人暮らしをしており、家族親戚との関わりを絶っている。娘ニースと息子レシェフは、父がなぜ外界との交流を絶っているのかを「無実の罪のため」だと思っているが、彼が隠遁しているのはそれだけではないようだ。

 エンキは「フランケンシュタインの怪物」と例えられる容姿を恐れられていたが、彼の素性を知る人たちには慕われていた。彼はそのような協力者たちのおかげで生きてこられた。彼には医術の心得はあるが、そんな彼にも、自らの病は治せない。もちろん普通の医者にも治せない病だが、これが第二部時代の医学で治療出来た病気なのか、それとも何者かの呪いがもたらしたものなのかは、分からない。

 

 人形は、某社の某アクションフィギュアの素体(元ネタを知らない)とボークスNEO-GUYヘッドのカスタム。顔にモデリングペーストを盛り付けた上に全面的に彩色しており、髪は黒のレース糸を植毛し、彩色している。素体にも顔と同じく斑に彩色しており、恐ろしい姿になっている。そのような姿なので、着せ替え人形としての汎用性はほぼない。まあ、他のキャラクターたちと同じく、物語の登場人物としては「スターシステム」を用いて他のキャラクターを演じさせる事は可能なのだ。

 彼に使っている素体は長身の造形なので、物語の登場人物としての彼はかなりの長身に設定している。この素体は脚の造形がかなり独特なので、私はこれでどのようなキャラクターを作ろうか迷っていた。しかも、肌色が青ざめた(というか、かすかに灰色がかった)色合いなので、健康的なキャラクターを作れない。それで苦肉の策として作ったのが、この「病める魔法戦士」エンキ・メルカートである。

 彼がいる『Avaloncity Stories』第三部は、いわゆる「異世界ファンタジー」的な世界観だが、惑星アヴァロンに生息する人間たちは地球人の子孫である。そして、各地の様々な農作物は〈聖なる星〉地球からもたらされたものである。それゆえに、トマトやジャガイモなどの農作物は当たり前のように出てくる。だから、『Avaloncity Stories』第三部は厳密に言えば「異世界ファンタジー」ではなく「遠未来SF」である。そして、第三部で描かれる「魔法」とは「超能力」と言い換えられるものである。エンキら魔法戦士たちは第二部のバールたちと天然の人間たちが融合した「新人類」の子孫たちだが、それは普通の人間たちも同じである。


【Blackmore's Night - Under a Violet Moon】

No.37/m.11 楽毅/ベル・シャマシュ(Yue Yi / Bel Shamash)

Yue Yi

《No.37/m.11 楽毅/ベル・シャマシュ(Yue Yi / Bel Shamash)》

「私はお前とランスロット たす けたい」

 彼は罪深き韓信に言う。その目は慈愛の光を宿す。彼はある〈善の女神〉のように優しい目をしている。

①かつて地球上にいた神々の一人であり、一時期は中国・戦国時代の えん 国の大将軍だった事がある存在。「人類の進化を司る神々」の集団並びにその本拠地である〈アガルタ〉の総長(President)。「楽毅」としての彼の先祖である楽羊将軍以来、楽家は「海の娘」を娶って血脈を保ち続けた。〈アガルタ〉の総長になる前の彼は、『Avaloncity Stories』第一部最大のキーパーソンである魔神マルドゥークの親友だった。

 そんな彼は、何度も人間に生まれ変わっては世界に混乱をもたらすマルドゥークや、シャマシュ自身の妹イシュタルに悩まされる。彼は普段はアガルタにいるが、時々地上に出て人間に生まれ変わって色々と調査している(その空白期間中、アガルタで「摂政」でいるのが、ラムセス2世の息子だったカエムワセト王子である)。そんな彼と伍子胥の関係は、『ファイブスター物語』のアマテラスとカイエンのようなものである。

 彼は『Avaloncity Stories』第一部の初代フォースタス・チャオ(趙翔)の岳父にして守護者である。さらに、魔術師マーリンの父親でもある。つまりは、初代アスターティ・フォーチュンの祖父でもあるのだ。中国史の名将の一人としての彼については、今さらこの場では語る事はないが、彼と韓信の関係はいわば、アテナとアラクネ、マドンナとレディー・ガガディープインパクトオルフェーヴルのようなものだろう。

②『Avaloncity Stories』第二部の未来の植民惑星においては、果心居士と松永緋奈の実子アーサー・フォースタス・フォーチュン(Arthur Faustus Fortune)に生まれ変わり、アヴァロン連邦初代大統領となる。彼の民たちを見る目は温かい。

 実は第二部以降の蓮華院家はアーサー・フォーチュンの血を引いている。彼がエスター・ナナ・フォーチュンと出会って結婚する以前に恋人だった女性が生んだ息子が、後の蓮華院家の祖先である。アーサーは二股をかけてはいなかったが、その女性蓮華院奈々は、自分が彼に釣り合う存在ではないと悟り、自ら身を引いたのである。

③第三部においても、様々な存在に生まれ変わり、かつての地球人たちの末裔を見守り続ける。そんな彼/彼女のフルネームは「シャマシュ・ユーフォロフォニー(Shamash Euphorophony)」である。 彼女 ・・ と「悪の女神」タキア(Taquia/Takia)の因縁はどこまでも続くのだ。ユーフォロフォニーについては別の記事で解説する。

 

 5月7日生まれ(もちろん、史実の楽毅とは無関係である)。身長180cm。好物は回鍋肉、関西風うどん、麦とろご飯、牛タン定食、寒天を使ったコーヒーゼリー(昭和後期の日本で食べて気に入ったらしい)。彼は時々、人間社会に出てきては、気ままな観光や生活を楽しんでいる。

 彼は第一部から第三部まで登場する数少ない歴史系キャラクターの一人である。そして、第一部・第二部・第三部・番外編のどの話においても、「ランスロット」は彼に対しては頭が上がらない。彼はその正体ゆえに、史実や宮城谷版以上の「チート」キャラクターだが、さすがに『ファイブスター物語』のカレンほどの力はない。まあ、伍子胥にとっては目の上のたんこぶなのだが…。

 第二部のアーサー・ユエは一応、彼の遠い(かなり遠過ぎる)子孫だが、とても「君子」楽毅の子孫とは思えないスキャンダルによって身を滅ぼすのは、『ファウストの聖杯』並びに『Fortune』に描かれている通りである。まあ、彼は楽毅の生まれ変わりではないし、全くの別人なのだが。

 

 人形はオビツ27cm女性型02ヘッドにヒゲを植毛し、スリムメンズボディに取り付けた。元々実際に人形を作る前に絵があったのはフォースタス、アスターティ、アスタロス、ランス・ファルケンバーグ、「百合姫」エレインと彼くらいだったが、予定よりも童顔になってしまったのは痛恨のミスだった。

「ヒゲを生やしても童顔はごまかせないよ」

 …確かに。

 このヒゲ、さらには長い黒髪という容姿は、男性キャラクタードールとしては着せ替え人形としての汎用性がなきに等しい。やはり、この人には歴史的・時代的な衣装が似合うのであり、現代的なコーディネートは似合わないだろう。そもそも、長髪の男性ドール自体が、短髪男性ドールに比べてファッションドールとして扱いづらいのだ。まあ、それを言うなら、男性ファッションそのものの「限界」というのが、現実の人間のオシャレにもあるのだが。

 何だかんだ言っても、彼は基本的に心優しく慈悲深い人物であり、心から悔い改めた者には救いの手を差し伸べる。それが光の神シャマシュ、並びに善の女神ユーフォロフォニーである。


【Norah Jones - Sunrise】

No.36/f.26 松永緋月(Hidzuki Matsunaga)

Hidzuki Matsunaga

《No.36/f.26 松永緋月(Hidzuki Matsunaga)》

『Avaloncity Stories』第一部の松永久秀の愛妾。「翡翠丸」こと松永 久毅 ひさたけ 日本画家松永少伯こと松永舜太郎の先祖)の母。緋奈の親友/義妹。義姉緋奈と共に〈アガルタ〉の精霊として活躍する。実は緋奈と同じく〈海の娘〉であり、それを知る久秀に迎えられた。それゆえ「 緋月 ひづき 」と名付けられた(ちなみに緋奈の名付け親は果心である)。彼女は緋奈と初めて会った時から意気投合する。

 生前の彼女は「鬼谷先生」こと 范蠡 はん れい との密約により、久秀に殉死した。そして、緋奈より先にアガルタの精霊に生まれ変わり、琉球で果心に看取られて天寿を全うした緋奈を迎える。そんな彼女たちは、現代まで修行の旅を続ける。それは、これから「終わりの始まり」を迎えつつある地球から〈 しゅ たね 〉を新天地に移すために必要な試練である。ある者は彼女たちを「女神」「聖女」と呼び、また、ある者は彼女たちを「魔女」と呼ぶ。

 緋月は果心や緋奈とは違い、第一部のみの登場人物である。しかし、第二部以降に彼女の生まれ変わりかもしれない人物は何人かいるだろう。ゲイナー三姉妹の長女ジェラルディン・ゲイナーは、もしかすると緋月の生まれ変わりかもしれない。かつての〈アガルタ〉の精霊たちの多くは、地球から新天地に旅立ち、様々な者たちに生まれ変わったのだろう。

 

 5月3日生まれ。身長158cm。好物はビーフカレー筑前煮、キムチ鍋、シュークリーム。基本的に温厚な性格だが、いざという時は 義姉 あね 緋奈以上に冷徹に動ける。その辺は良くも悪くも久秀に似ているのだろう。現代人としての彼女はある短大を卒業し、『恋愛栽培』の蓮華院秀虎・加奈子夫妻が住む街にある保育園で保育士の仕事をしている。緋奈も彼女と同じく短大を卒業し、保育士の仕事をしていたが、蓮華院家のベビーシッターとして雇われたのを機に保育園を退職した。

「私は姉さんほど情け深くはありません」

 緋奈は光と水を武器にするが、緋月は風と空気・気体を武器にする。彼女は風圧でかまいたちを起こし、敵を刻み尽くす。さらに、空気中の二酸化炭素から炭素を抜き出し、ダイヤモンドの礫にして敵に発射して射抜く。彼女はサディスティックな性格ではないが、敵に対する果敢さは緋奈以上かもしれない。

 彼女は果心と緋奈を通じて蘇った〈彼〉について行く。それから数百年後、〈彼〉は超巨大宇宙移民船アヴァロン号で果心と緋奈を迎え、自らの力と意志を、そしてフォースタス・チャオとアスターティ・フォーチュンの魂を彼らに託していく。緋月は他の仲間たちと共に〈彼〉について行き、地球を去る。果心と緋奈は〈アガルタ〉の総長シャマシュ公と共にアヴァロン号で地球人の末裔たちを導き、新天地にたどり着く。それが緑の星アヴァロンである。

 

 人形は緋奈と同じく、オビツ27cm女性用02ヘッドとノーマルボディを組み合わせている。緋奈とは元々赤の他人同士だが、実の姉妹のようにそっくりである(彼女たちは東アジア系の〈海の娘〉としては平均的な容姿らしい)。しかし、義姉緋奈と比べると、どことなく怖い顔つきに見える。もちろん、意図的にそうしたのではないが、底知れぬものを抱えた雰囲気を感じさせる。

 緋奈と同じく、長く真っ直ぐな黒髪の日本人女性設定のキャラクタードールなので、和装コーディネートの写真のモデル要員である。他にも何人か「和風のお姫様」らしいキャラクターを作ろうかと思ったが、まずは自作小説の内容を優先したい。そうすると、第三部の 蓬莱 ホウライ 人設定のキャラクタードールを作ろうかな…? それよりも、男性キャラクターを優先した方が良いな。

 緋奈が鮮やかな赤い唇なのに対して、緋月の唇は淡いピンクなので、着せ替え人形としての汎用性が高いかもしれない。とはいえ、緋奈と同様、古典的なお姫様らしい長い黒髪なので、現代的かつカジュアルなコーディネートは難しいかもしれない。


【吉田美奈子 - 頬に夜の灯】

No.35/f.25 松永緋奈/ヒナ・アスターティ(Hina Astarte Matsunaga)

Hina Matsunaga

《No.35/f.25 松永緋奈/ヒナ・アスターティ(Hina Astarte Matsunaga)》

『Avaloncity Stories』のもう一人のメインヒロイン。いわば「もう一人のアスターティ・フォーチュン」であり、第一部から第三部まで登場する「女神」である。

①「初代」 松永緋奈 まつなが ひな …「海の娘」。果心居士と松永久秀という二人の男たちに愛される。死後、光と水の精霊に生まれ変わり、不老不死の身となり、果心と行動を共にする。「ティアマット」の一人。

②「二代目」ヒナ・アスターティ・マツナガ(Hina Astarte Matsunaga)…初代と同一人物。果心の永遠のパートナー。アヴァロン連邦初代大統領アーサー・フォースタス・フォーチュンの母。一時期は若き日のフォースタス・マツナガを色々な意味で導いた。

③「三代目」 松永緋奈 まつなが ひな …可憐な美貌の女剣士。果心の妻。初代とも二代目とも同一人物。怪力と電撃を用いる不老不死の者。〈聖なる星〉の神々から受け継がれた 属鏤 しょくる の剣の持ち主。  5月1日生まれ(ただし、フォースタス・マツナガ博士の恋人ヒナ・アスターティ・マツナガとしては、アスターティ・フォーチュンと同じ7月7日生まれである)。

 

 身長163cm(戦国時代の日本人女性としては長身である)。好物はチキンスープカレー、五目ちらし寿司、シーザーサラダ、ティラミス。白い百合の花と真っ赤なリンゴがシンボル。艶やかな黒髪と透き通るような白い肌の、可憐かつ聡明で毅然とした美女である。

 可憐な美貌と超人的な戦闘能力を合わせ持つゆえに、アガルタの精霊たちからは〈キラー・クイーン〉という愛称で呼ばれる。彼女は多くの人々の心を射抜くのだ。あの堅物の伍子胥も彼女に一目惚れしてしまうが、それは緋奈個人の魅力だけのせいではなく、たまたま彼女が子胥の亡き妻と瓜二つだったからでもある。しかし、さすがに子胥は、自身の一族が暗君の略奪愛によってズタズタにされただけあり、自身が略奪愛の当事者になるのは、彼自身のプライドが許せないのだ。

 

 人形はアスターティと同じくオビツの27cm女性用02ヘッドを使用しているが、彼女はボディもオビツ製(ノーマルボディ)である。その黒目黒髪に色白の肌という可憐な容姿には、『ファイブスター物語』のメル・リンスや『マルドゥック・スクランブル』のルーン・バロットのイメージが入っているが、超人的な戦闘能力があるのも彼女たちと同様だ。

 果心がフォースタス・チャオと同じく優柔不断な面があるのに対して、緋奈は決断力がある方だ。いざという時に非情になれるのは、果心ではなく緋奈である。伍子胥はそんな彼女の資質を見込んで属鏤の剣を授けたが、それは彼だけでなく、商鞅や久秀の意思でもあり、彼らも時々この剣を借りて使う。

 

 死後、アガルタの「光と水の」精霊として生まれ変わった彼女には様々な能力がある。20代前半の若さを保っており、怪我をしても無傷に再生する事が出来る(身体の再生能力は、もちろん果心にもある)。彼女はその延長として、唇や目の周りや爪などの色を自由自在に変えられる(夏は一瞬で小麦色の肌に変えたりする)。彼女も初代アスターティも、この能力がある上に常に肌の状態が良いので、化粧品を必要としない。実に羨ましい能力である。

 さらに、生前(生まれ変わる前)とは比べ物にならないくらいの戦闘能力を持っている。ハッキリ言って、果心より強い。結構怪力だ。緋奈は電撃で敵を攻撃する。動きもかなりすばやいので、彼女の攻撃を避けるのは極めて難しい。

 彼女は手を使わなくても髪を結う事が出来る。髪の毛を生き物のように自由自在に操れるので、そのような芸当が可能だ。さらに、この髪も武器や防具になる。

 髪や肌の状態だけでなく、体臭のコントロールも自在に出来る。普段の彼女は百合の香りを漂わせている(これもまた、初代アスターティも持つ能力だ)。蓮華院家の子供たちの世話をする時は、バニラなどのお菓子系の香りを漂わせる事が多い(その影響で加奈子はお菓子系の香りのコロンを愛用する)。

 

 彼女は果心との交わりによって石の卵を産む。『恋愛栽培』で悪役として登場して死んだ浜凛華は、それで無垢な娘として生まれ変わる。一応は『Avaloncity Stories』とは別枠の話である『Babelcity Explode』のヒロインコンビ、松永りりこと織田こずえは、果心と緋奈の娘たちである。さらに、アヴァロン連邦初代大統領アーサー・フォースタス・フォーチュンは果心と緋奈の息子だが、彼は卵ではなく普通の赤ん坊として生み出された。

 緋奈は動植物に新たな命を与えて精霊にする事が出来る。黒猫の黒蜜・黒月姉妹も緋奈が生み出した精霊である。


【David Lee Roth - Hina 】