Avaloncity Dolls

私、「信頼出来ない語り手」明智紫苑の自作小説とカスタマイズドール中心の我楽多ブログです。

No.19/f.16 ライラ・ベラ・ハッチェンス(Lailah Bella Hutchence)

Lailah Hutchence

《No.19/f.16 ライラ・ベラ・ハッチェンス(Lailah Bella Hutchence)》  小説『ファウストの聖杯』に登場する作家で中国文学者のアーサー・ユエの妻。画家。スミレ色の瞳が印象的な、妖艶な黒髪美女である。夫の教え子フォースタスを誘惑し、不倫関係になるが、一人息子マークに殺されてしまう。享年45歳。

 エリカ・カラシニコフと同じく、アヴァロン芸術大学美術科卒業。父は劇作家で、母は舞台女優だった。どちらも「人の親」にふさわしい人物たちではなかったらしく、それが彼らの娘であるライラの性格に悪影響を与えたのかもしれない。ただし、ライラは決していわゆる「悪女」ではなく、世間一般に流布しているイメージよりはよっぽど善人である。

 ファーストネームの「ライラ」はヘブライ語アラビア語「夜」を意味し、ミドルネームの「ベラ」はイタリア語で「美女」を意味する。フォースタス・チャオはこの「夜の魔女」に魅了されて、人生が傾きかけた。そして、ライラ自身もこの「幸ある者」の生命力に魅了されて命を落とす。

 

 9月3日生まれ。身長165cm。好物はバラ味のマカロン、スミレの砂糖漬け、ビーフストロガノフ、バタフライピーティー。黒髪と紫色の目はまさしく、「 宿命の女 ファム・ファタール 」の美しさである。そんな彼女がなぜトホホなフォースタスに惹かれたのか? 当人が夫の愛弟子で身近だったからというだけではないだろうが、それにしても不思議なカップリングである。

 まあ、自分や息子マーク以上に夫に愛されているフォースタスに対して、多少なりとも嫉妬や羨望があったのかもしれないが、フォースタスが持つある種の純真さに惹かれたのかもしれない。「馬鹿な子ほどかわいい」に近い感覚かもしれないが、フォースタスという男にはある種の女性の母性や、他の一部男性の父性(や「ブラザーフッド」)を動かす「ほっとけない」何かがあるのだろう。

 それにしても、旦那のユエ先生は実にひどいお方である。『Avaloncity Stories』全体においても、ユエ氏ほどひどい男性キャラクターはそうそういないだろう。あ、「マッチョマン」プレスター・ジョン・ホリデイ氏という強力な男性キャラクターはいるが、ホリデイみたいな「パワー型の嫌な男」以上に、ユエ先生はタチが悪い人だろう。

 ライラの苗字は、80年代のオーストラリアで人気があったバンド、インエクセスのヴォーカリストだったマイケル・ハッチェンスに由来する。私は90年代、旧コーエーの出版部が発行していた歴史投稿雑誌シリーズ『光栄ゲームパラダイス』『歴史パラダイス』『Da Gama』『歴史ファンワールド』を愛読し、自作イラストを投稿していたが、この雑誌シリーズは恐るべき傑物を輩出した。言わずと知れた人気漫画家の荒川弘氏である。

 この雑誌シリーズの最初『光栄ゲームパラダイス』にあった競馬コーナーで、私は当時の人気競走馬の名前を何頭か知ったのだが、前述のマイケル・ハッチェンス氏は自殺で亡くなり、ライスシャワー号はレース中の事故で安楽死した。私が彼らの最後を知ったのは、コーエーの一連の投稿雑誌シリーズが廃刊してからの事である。しかし、マイケルの後にインエクセスのヴォーカリストになった人物に「フォーチュン」姓の人がいたのだが、私のアスターティ・フォーチュンの苗字は彼とは全く無関係であり、偶然の一致である。

 

 人形はボークスNEOヘッドとセンチュリーモデルボディ使用。このセンチュリーモデルのボディは肩幅が広く、胸も大きめなので、なかなか似合う服が見つからない。ボークスのファッションドール「センチュリーモデル」シリーズの新作が出なくなったのは、どうやらプロデュースをしていたドールカスタマイザーさんが病気療養のために活動をやめたかららしい。もう一つのプロデュースチームも、現在の状況は不明である。

 しかし、複数の作家さんたちがキャラクターデザインを手がけていた「ロストエンジェルス」までも新作が出なくなったのは、どうした事なのか? そもそも、エクセレントボディの後釜となる新素体の開発の情報もないし、1/6ドールオタクの私としては色々と残念である。

 ライラの瞳がスミレ色なのは、今は亡き往年の大女優エリザベス・テイラーの目の色が元ネタである。ライラ自身の容姿はリズには似ていないけどね。
【Derek & The Dominos - Layla】